「バンガード・バリューETF(VTV)」は米国の大型バリュー株で構成されているファンドです。
VTVの分配金利回りは2025年1月時点で約2.27%となっています。
この記事では、VYM・SCHD・HDVという米国の主要な高配当株ETFの組入銘柄がVTVとどれだけ重複しているのかを比較しています。
VTVと高配当株ETFの重複率比較
ETF | 銘柄数 | VTVとの銘柄重複率 | VTVとの資産比重複率 |
---|---|---|---|
VYM | 537 | 約35% | 約66% |
SCHD | 100 | 約36% | 約15% |
HDV | 75 | 約69% | 約22% |
興味深い結果となりました。
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)は、銘柄の重複率は35%程度ですが、資産構成比で見ると66%がVTVと重複していることがわかります。すなわち、VYMの資産全体に占める大型バリュー株の割合が大きいということになります。
VYMは500以上の銘柄を組み入れているため銘柄の数での重複は3割強ですが、資産構成はVTVと似ている部分があります。
SCHD(シュワブ米国配当株式ETF)は銘柄重複・資産比重複の両方で低めとなっており、特に資産比での重複率は非常に低いです。SCHDはVTVと比べて圧倒的に金融セクターが少ない一方で、エネルギーや一般消費財セクターへの比重が高めです。
SCHDは銘柄を100に厳選しており、その過程で配当の低めな一部のバリュー株は除外されています。
HDV(iシェアーズ コア 高配当ETF)はSCHD同様に組み入れ銘柄の数は少ないものの、VTVと7割近く重複しています。すなわち、大型バリュー株を多く組み入れているということになります。
一方で、HDVとVTVは資産比では重複は2割しかありません。VTVの資産の2割程が金融セクターとなっていますが、HDVは金融セクター企業はほとんど組み入れていません。また、HDVはいくつかの企業へのウェイトが高く、多くの銘柄に分散されているVTVと資産構成はかなり異なります。
よって、HDVは大型バリュー株を多く組み入れているものの、一部の企業へのウェイトがかなり偏っていると言えます。
パフォーマンス比較(分配金を含まない)
2025年1月時点でのパフォーマンス
ETF | 過去1年間 | 過去5年間 |
---|---|---|
VTV | +16.19% | +42.09% |
VYM | +17.40% | +37.04% |
SCHD | +10.22% | +41.08% |
HDV | +10.94% | +15.77% |
大型バリュー株ETFを薦める人はほとんどいないという話
今回紹介したVTVのような大型バリュー株のETFをおすすめする人はほとんどいません。
大型バリュー株のETFに投資するなら、S&P 500のETFに投資した方が遥かに良いからです。S&P 500のETFにも大型バリュー株は多数含まれています。
まず、大型のバリュー株は成長があまり見込めず、値上がり益を享受しづらい銘柄が多いのが特徴です。その上、分配金の利回りも高くありません。
一部の銘柄は伸びることもありますが、多くの銘柄を組み入れているETFではその恩恵も小さくなります。セクター別のETFに投資した方がパフォーマンスが良いことが多いです。
VTVと重複が少ないSCHDのトータルリターンには目を見張るものがあります。
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